History and Space for a Break

from my dear Andromeda

ロバート・オーエンとニューラナーク工場

宇宙人のliynだよ。

 

地球の19世紀に興味のある僕は、これから2人の社会主義者マルクスとエンゲルスの調査を始めるところなんだ。

 

マルクスとエンゲルスと言えば、1848年の『共産党宣言』だね。

 

彼らの社会主義が科学的と言われるのに対して、その先駆者の社会主義は空想的と呼ばれることがあるよ。

 

イギリスのロバート・オーエン、フランスのフーリエ、サン・シモンが空想的社会主義の代表的人物だ。

 

今回僕は、オーエンについて参考になる図書を見つけたんだ。だから、最初にそれをまとめておきたいと思う。

 

産業革命

イギリスの産業革命は1760年頃から始まった。

 

糸や織物の産業が盛んになったのはいいんだけど、羊毛の生産のために農民が土地から追い出されたり、職人が職を失ったりもしたよ。

 

そこで、イギリスの一部であるスコットランドやアイルランドでは、比較的賃金の高いアメリカへ移住する人が増えていたんだ。

 

ニューラナークの綿糸紡績工場の元々の持ち主デール氏は、ある日、アメリカへの移住に失敗した労働者を大量に雇い入れた。

 

しかし、高齢や跡継ぎの息子の不在で、デール氏は工場を手放すことを考える。

 

青年

デール氏の下にオーエンという青年がやって来て、工場の購入を申し出た時、彼は若いオーエンを信用しなかった。

 

しかし、結局はオーエンに工場を売り渡すことになるんだね。若者の共同経営者が思いのほか立派な人だったからだ。

 

しかも、デール氏は自分の娘までオーエンに貰われてしまったらしい。

 

下は、1800年のオーエンの肖像だ。

 

Mary Ann Knight - Robert Owen, 1771 - 1858. Pioneer socialist - Google Art Project

 

改革

クライド滝の下手の川の右岸、ニューラナークには工場4棟と、4階建てのブロック住宅が立ち並んでいた。

 

川の水は、水力の紡績機を動かすのに必要だった。オーエンは生産の効率化や機械の新調を進めたよ。

 

それだけではなく、彼は労働者のために工場医を雇ったり、児童の教育や養老年金などの福利厚生を整えたんだ。

 

他の記事でも説明したけど、19世紀頃の貧困は、怠惰、酒、ギャンブルなどの結果の自己責任と考えられていて、共感が少なかった。

 

でも、オーエンは工場内の犯罪や他の害をなす行為を、境遇のためだと考えて罰しなかったんだ。児童教育に力を入れたのはそのためだね。

 

オーエンは次のように言っているよ。

 

環境がつくりだしたものである悪や罪をだれがいったい罰したり、責めたりできましょう。だいじなことは、人間が環境の産物であることをはっきり認めて、悪や罪を生む環境を変えることです。

 

思想

ここで、オーエンの思想を簡単に確認してみよう。

 

宗教に否定的な彼は、次のように語っているよ。

 

どの宗教も、キリスト教も、マホメット教も、仏教も、すべてこう教えます。人が罪を犯したり堕落したりするのは、その人自身が悪いのだ、その人に責任があるのだ(...)。しかし何度も申しますように、責めはその人にではなく、境遇にあるのです。

 

また、オーエンはベンサムの最大多数の最大幸福の考えを批判したんだ。

 

彼によれば、ベンサムの考え方は原子論的で争いに繋がり得るから、人が幸福になるには、個々人がバラバラにではなく、協同しなければならない。

 

オーエンは罪の背後に境遇という原因を仮定し、人と人の協同を幸福の前提と考えたんだね。思想に人柄がよく表れているようだね。

 

ニューハーモニー村

ニューラナークの次にオーエンが情熱を注いだのが、アメリカのニューハーモニー村だった。彼はこの共産社会の理想化を目指したよ。

 

しかし、共同体が無差別に入植者を受け入れると不和が起こり、経済的にも経営が難しくなってしまった。

 

オーエンが村を去ったのは1827年のことだ。

 

ただ、オーエンの試みは他の人に受け継がれ、イギリスでもオーエン主義者が活動を続けた。彼らは後に、青年エンゲルスにも影響を与えるんだ。

 

なお、下は50歳頃のオーエンだ。

 

Portrait of Robert Owen

 

今回はここまでにしよう。

 

History for a Break

このブログでは、アンドロメダからやって来た宇宙人のliynが、歴史、文学、世界、宇宙などをテーマに調査を行っているよ。

 

簡単な記事を投稿をしていくから、たくさん読んでほしいな。

 

Series

Ⅰ. This article.

Ⅱ. マンチェスター時代のエンゲルス

Ⅲ. 若き日のカール・マルクス

Ⅳ. マルクスとエンゲルスの出会い

 

Reference

土屋保男『マルクス エンゲルスの青年時代』(新日本出版社)