宇宙人のliynだよ。
僕の最近の調査対象はヴィクトリア女王だ。
ヴィクトリア女王の治世を知ることは、僕が興味のある19世紀の歴史を理解することに繋がってくるからね。
彼女は1837年に即位して、翌年に戴冠式を終えた。
今回のテーマは彼女の結婚だけど、結婚当時の1840年、女王はまだ20歳に過ぎなかったんだ。
結婚を境に、彼女は未熟な君主から、母であり、誠実な君主でもある一人の女性へと成長を遂げていくよ。
20歳の女王
最初、ヴィクトリア女王は君主として、結婚の意志はないと当時のメルバーン首相に語っていた。
一方で、叔父でベルギー君主のレオポルドは、自分の出身であるザクセン=コーブルク公国の王子と女王の結婚を画策していたんだ。
やがて、女王はザクセン=コーブルクの王子と会うと決まった。
しかし、メルバーン首相はイギリスの君主とドイツの若者との結婚に、不安を感じていたようだ。
1839年、女王が20歳の年だ。
低迷①
この頃、2つの事件が女王の人気を低迷させていた。
一つ目は、へースティングス事件だね。
この年、女官のへースティングスが肝臓がんで亡くなった。ホイッグ党を推す女王はトーリー系の女官を信用していなかったよ。
女王がした噂話が、女王自身への不信感に繋がったようだ。
彼女はがんで未婚の女官のお腹が膨らむのを見て、妊娠していると信じて疑わなかったんだ。
低迷②
もう一つが寝室女官事件だ。
当時女王が最も信用していた人物で首相のメルバーンが、選挙で敗北して、辞任することになった。女王は狼狽したようだね。
当時、内閣が変われば、王室の人事も変わるのが常だったんだ。今回の場合、ホイッグ系からトーリー系へ人事が変わるべきという風にね。
女王はこれを拒否した。
新しい首相ピールは辞任に追い込まれ、メルバーンが首相に復帰したよ。
しかし、女王の頑固な態度に、議会や労働者などの国民は不信感を抱いたんだ。
女王はまだまだ、君主として未熟だったんだね。
アルバート王子
ザクセン=コーブルクの王子の名はアルバートと言うよ。
彼は知的でハンサムで、高度な教育を受けた人物だったようだ。おとぎ話のような環境の故郷で育った彼は、自然を愛していたよ。
女王が結婚問題を先延ばしにしている間、彼はボン大学で学んだんだ。
彼は芸術、法律、政治、経済を学び、哲学や文学を好んだよ。女王が軽い読書で満足する人物だったことと対照的だね。
結婚の申し込み
1839年の秋、女王とアルバートはウィンザー城で会った。
女王は彼を一目見るや、結婚する気になったんだ。
彼女はアルバートを部屋に呼んで、結婚を申し込んだ。彼は英語も話せたけど、ドイツ語で結婚に同意したようだよ。
君主として
二人はお互いに夢中だった。
だけど、女王には君主として冷静な部分もあったんだ。
一度帰国したアルバートからの手紙に、彼女はこう答えている。未来の夫は女王とのハネムーンを夢想していたんだけどね。
わたくしの最愛の人であるあなたは、お忘れなのですね。わたくしが君主であることを。仕事をむやみに止めたり、待たせたりはできないのです。議会も控えているし、ほぼ毎日、色々起こります。その対応のために、わたくしが必要になるかもしれません。(...)
結婚
翌1840年、ヴィクトリア女王とアルバート王子は結婚した。
しかし、イギリス人となったアルバートの地位は正当なものではなかったんだ。
女王が彼に女王に次ぐ王配殿下の称号を授けるには、1857年まで待たなければならなかったよ。
当日の朝は雨模様だったんだけど、結婚式では、女王は優しく清楚なクリーム色のシルクのウェディングドレスを着たよ。
会場は、セントジェームズ宮殿の王室礼拝堂だった。
女王は叔父のレオポルドへの手紙に、次のように書いた。
本当に、世界中でわたくしよりも、または同じくらい幸せな人がいるとは考えられません。彼は天使のような人で、その優しさと愛情には心を動かされます。(...)
出産
レオポルド叔父の妻で、ジョージ4世(在位1820~30年)の娘であるシャーロットが出産で亡くなったこともあり、女王は妊娠を恐れた。
だけど、彼女は結婚の6週間後に妊娠するんだ。
1840年11月、第一王女ヴィクトリアが誕生する。両親はこのよく出来た娘を溺愛したようだ。
彼女はプロイセンの皇太子と結婚することになる。その子は、後にヴィルヘルム2世として即位し、第一次世界大戦に突入していくよ。
下は、女王夫妻と長女ヴィクトリアを描いたものだ。
今回はここまでにしよう。
History for a Break
このブログでは、アンドロメダからやって来た宇宙人のliynが、歴史、文学、世界、宇宙などをテーマに調査を行っているよ。
簡単な記事を投稿をしていくから、たくさん読んでほしいな。
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Reference
デボラ・ジャッフェ『図説 ヴィクトリア女王』(原書房)