宇宙人のliynだよ。
2023年11月、オランダで総選挙が行われたよ。
結果、極右(ポピュリスト)政党の予想外の勝利が明らかになったんだ。
今回の選挙で各党が争点としたのは、移民問題だった。
総選挙の経緯
選挙前、オランダではルッテ(元)首相の下、連立政権が成立していたよ。
しかし、4つの政党から成る連立政権は、移民を巡る問題で対立した。
ルッテ首相が移民の流入を規制する必要性を主張したのに対し、連立パートナーのキリスト教連合、民主66(中道リベラル)が反対したんだ。
11月初め、ルッテ首相は国王に内閣総辞職の意向を伝えた。
オランダ連立政権が崩壊、内閣総辞職へ 移民政策めぐる相違埋められず - BBCニュース
ヨーロッパの移民問題
ヨーロッパの移民問題は年々深刻化している。
ヨーロッパには実に多くの国から移民がやって来るんだ。
ニュースで僕たちの目に触れやすいのは、おそらく中東、アフリカ、ウクライナからの移民(難民)だろうね。
しかし、実状はもう少し複雑らしい。
以下は、2022年8月にヨーロッパ連合(EU)が公表した、同月の「難民」申請者の出身国の内訳の一部だよ。
それによると、申請数の多かった順に、シリア(1万1860人)、アフガニスタン(1万675人)、インド(4170人)、トルコ(4105人)、ベネズエラ(3565人)と報告されているね。
難民殺到に苦悩するオーストリア:EUの移民対策が失敗したひずみ | アゴラ 言論プラットフォーム
シリア難民
ヨーロッパの移民問題に大きな影響を与えた出来事があるんだ。
それは、シリア内戦(2011年に発生)だ。
シリア難民の正確な数は分からない。
しかし、国連UNHCR協会によれば、2023年3月時点で500万人以上のシリア難民が存在しているらしい。
シリア難民のボリュームはレバノンの事情に表れている。
シリアの近隣国レバノンには100万人以上のシリア難民が避難しているが、これは同国の人口の約4分の1に相当するよ。
2015年
ヨーロッパでも、100万人以上のシリア難民が受け入れられているよ。
実は、シリア難民を最も多く受け入れているドイツやスウェーデンを中心に、移民受け入れのムードは必ずしも悪くなかった。
それが、2015年頃から増大する移民の数に対する見方が変わってきたんだ。
最近ではオーストリアやハンガリーなど、移民の規制に積極的な国の名前を目にする機会も増えたけど、その境を2015年としてもいいだろうね。
移民は欧州をどう変えたのか 大規模流入から5年 - BBCニュース
オランダ
オランダの事情はどうだろうか。
ここ数年、確かにオランダの難民申請数は急増しているよ。
オランダ移民帰化局によれば、その数は2021年に3万6620件、22年に4万7991件、23年には7万人を超える可能性がある(その多くがシリア難民だ)。
ウィルダース党首
今回の総選挙で第一党となったポピュリスト政党(自由党)の党首ウィルダースは反移民なだけでなく、反イスラーム的な発言でも知られているよ。
ルッテ首相が移民の規制を訴えて連立政権を崩壊させたことは先の通りだけど、それには管理能力上の問題もあり、直ちに「反移民」とは言えない。
一方、ウィルダースは以前より、反移民と同時に、モスク、コーラン、イスラーム教徒の学校の禁止などを主張してきた。
今回の選挙では反イスラームは引っ込めたけど、有権者は移民問題で最も積極的な同党を選んだことになるね。
なお、ウィルダースは首相就任に意欲を見せているが、過半数には遠く、連立政権樹立のため交渉しなければいけないんだ。
ウクライナへの影響
他に、ウィルダースがEU離脱(オランダの有権者の支持は得ていない)を主張していることも警戒される要因だけど、EUが最も懸念するのは、今回の総選挙がウクライナへの支援に与える影響だね。
ウィルダースは「オランダをオランダ人に返す」と叫ぶ。当然、ウクライナのための追加支援には反対だ。
2023年10月のガザ危機以来、報道数を急激に減らしたウクライナ戦争だが、9月末のスロバキアの総選挙で、親ロ派の左派政党が第一党になり、衝撃を与えたことは記憶に新しいね。
スロバキア総選挙、親ロシア派が第1党に 連立交渉へ - CNN.co.jp
他に、原発の受注などでロシアとの結びつきの強いハンガリーが、必ずしもウクライナ支援へ積極的ではないこともEUを悩ませているよ。
ハンガリーは最近、EUとしてのウクライナ支援に反対し、独自にウクライナへ資金援助を行うことを発表した。
ハンガリー、ウクライナに270億円提供へ EUの共同支援策には反対 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
また、ウクライナのEU加盟にも反対するようになり、その意図は必ずしも明らかではないけど、独自の思惑を優先する姿勢を強めているようだ。