シャルトル大聖堂と聖母マリアの御衣

シャルトル大聖堂。

その建築の物語は、以下のように伝えられている。

 

***

シャルトル大聖堂は、フランスのシャルトルにある大聖堂。

フランスで最も美しいゴシック建築の一つで、二つの尖塔が印象的だ。

***

 

9世紀、シャルトルには昔からの教会があった。

教会の中には古い井戸があり、その水は病を癒やすと言われた。

 

その評判も手伝ったのだろう。

教会はシャルル2世禿頭王(カール大帝の孫)から、ある宝物を寄進された。

 

宝物とは、聖母マリアの御衣のことだ。

 

それから数年もしない内に、町はノルマンディ公国の攻撃を受け始めた。

敵は、北フランスにあったノルマン人の国だ。

 

シャルトルの城壁はボロくて、町は敵に為す術がなかった。

 

そこで、町の司教は機転を利かせた。

なんと、彼は城壁に登って、そこで聖母マリアの御衣を振って見せたのだ。

 

するとどうだろうか。

聖なる威力に震え上がった敵の軍勢は、たちまち逃げ出してしまったのだ。

 

それから、聖母マリアの御衣は聖遺物箱に大切にしまわれ、教会にはたくさんの巡礼たちが訪れるようになった。

 

新しい大聖堂の建設が始まったのは、12世紀の半ばのことだ。

昔からある教会は、多くの巡礼が訪れるにはあまりに小さ過ぎると思われた。

 

悲劇は、そのおよそ50年後に訪れた。

1194年の夏の深夜、大火災が建築中の大聖堂を襲ったのだ。

 

大火災の原因は雷だったと、ブリズバールという人は言っている。

 

住民たちが絶望したのももっともだろう。

なぜなら、あのかつて町を救った聖遺物、つまり聖母マリアの御衣は、建物と一緒に焼けてしまったに違いなかったのだから。

 

しかし、奇跡は起こった。

焼けた石の間から、聖遺物が無事で発見されたのだ。

 

すぐに、もう一度大聖堂の建築が始められた。

多くの人が――シャルトルでも、他の町でも――進んで献金を行った。

 

大聖堂は今も町の象徴として人々に愛されている。

 

▽シャルトル大聖堂

シャルトル大聖堂

 

Series

Ⅰ. フランス シャルトル大聖堂

Ⅱ. This article.

 

Reference

ブリズバール『フランスのくらしとあゆみ  シャルトルの大聖堂』(西村書店)